不動産の生前相続とは？タイミングがカギ！

生前相続と聞くと、多くの方はまず「土地」を思い浮かべるかもしれませんが、実際には「不動産」全体を対象とすることができます。不動産には、土地だけでなく、建物やマンションなど、さまざまな形態の資産が含まれます。そして、これらの不動産を生前に贈与することは、相続対策として非常に有効な手段となります。

不動産の生前相続にはいくつかのメリットと注意点がありますので見ていきましょう。

生前相続 贈与税活用のメリット

まず、相続税を軽減できる可能性があることが大きなメリットです。日本では、相続税の負担が高くなる傾向がありますが、毎年の贈与税の年間基礎控除額が110万円までと定められており、計画的に少額ずつ贈与を進めていくことで、長期的に相続税対策を行うことが可能です。

また、評価額が下がりやすい不動産（例えば、建物の古い部分）を早めに贈与することで、税負担の軽減効果がさらに期待できます。そのほか、「住宅取得資金の贈与の特例」など特例制度の活用で、より高額な贈与が非課税で行えるケースもあります。

生前相続 リスクと注意点

一方で、注意が必要な点もあります。不動産の生前相続には、土地や建物の贈与に伴う不動産取得税や登録免許税が発生するため、贈与税以外にもコストがかかる可能性があります。

また、不動産は流動性が低いため、現金の贈与に比べてすぐに換金できないリスクもあります。

これに加え、家族間で不動産の管理や将来的な活用方法について明確にしておくことが大切です。もし、不動産を持つことが金銭的な負担になるようであれば、受贈者にとっては逆にプレッシャーになるかもしれません。

さらに、不動産の種類によっては、贈与後も親や祖父母が引き続き住むことを希望する場合があります。その際には、「居住権」を明確にしておくことが重要です。これにより、住む場所に困ることなく、贈与のプロセスを進めることができます。

生前相続 適切なタイミングと計画的な実行

タイミングについても重要なポイントです。早めに贈与を開始すれば、贈与税の非課税枠を複数年にわたって活用でき、長期的な節税効果が期待できます。ただし、不動産の価値が変動することはよくあり、将来的に大きく値上がりする可能性のある不動産を早々に贈与してしまうと、結果的に得策ではなかった、ということも起こり得ます。贈与のタイミングを慎重に見極め、専門家と相談しながら計画を進めることが肝要です。

不動産の生前相続は、相続税対策の一環として有効な手段です。しかし、検討する際には税務面だけでなく、家族の将来的な生活設計や資産の活用方法にも目を向けることが重要です。事前にしっかりと準備し、家族全員が納得できる形で贈与を進めていくことが、円満な資産承継への第一歩となります。